軽量コンクリートを使用して工事費を削減した低層建築物
軽量コンクリートにより建築物の軽量化を図るのは
高層建築物にかぎられたことではありません
鉄骨構造の場合、高層建築物では固定荷重や地震荷重を低減し,安全性・経済性を向上させる目的で、スラブに軽量コンクリートを採用することで建築物の軽量化を図る例が多いが、低層建築物でもスラブに軽量コンクリートが採用されることがある。
鉄骨構造の低層建築物における軽量化の主目的は、【1】鉄骨使用量を低減して工事費削減を図る【2】梁のロングスパン化及び柱間隔の拡大化を図ることで室内空間の自由度を高める【3】小さい設計地耐力に対応する 等が挙げられるが、ここでは【1】及び【2】の目的で、低層建築物(鉄骨造,4階建て)のスラブに軽量コンクリートが採用された事例として株式会社椿本チエインの京田辺工場のテクニカルセンタ−棟を紹介する。
この工場は、「一般産業用チェーン」等で世界に誇る株式会社椿本チエインの最新鋭工場として、昨年春に完成。その工場の概要とスラブに軽量コンクリートが採用されたテクニカルセンター棟及び軽量コンクリートの仕様に関する概要を下記に示す。
写真1:京田辺工場全景
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1.京田辺工場概要
工場所在地
:京都府京田辺市甘南備台1−1−3
従業員数
:約 800人
敷地面積
:230,170m
2
(約7万坪)
建築物延床面積
:99,250m
2
(メインファクトリー棟等,8棟)
工場設計・監理
:株式会社 WAW・渡部建築事務所
施工
:鴻池組、大林組、きんでん、大気社
スラブに軽量コンクリートが採用された理由
スラブに軽量コンクリートを採用したことについて、設計者の「株式会社 WAW・渡部建築事務所」のご担当者のお話しでは、『軽量コンクリートを採用したテクニカルセンター棟は、ワンフロアーが45m×90mの建物だが、建設費のローコスト化を計る目的でスラブに軽量コンクリートの採用を決定したが、その結果として大幅な鉄骨数量の削減に成功し、当初の目的通り
ローコスト化が達成できた。また、建物を軽量化したことで、地震時の水平力に対しても安全有利な構造物になっている。』とのこと。
梁のロングスパン化については、X方向 9,000mm×Y方向 7,500mmとなっており、室内の状況(写真3)を観ても柱間隔が大きくとれて,室内空間の自由度が高められている様子がよくわかる。
写真2:テクニカルセンター棟全景
写真3:テクニカルセンター棟室内
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2.テクニカルセンター棟概要
構造・規模
:鉄骨造 4階建(延床面積 13,848.23m
2
)
軽量コンクリート
:使用部位(地上階スラブ 厚さ150mm)
軽量コンクリートの種類(1種・比重1.85)
使用量(1,600m
3
)
設計基準強度(21N/mm
2
)
スランプ(18cm)
ALA CONCRETE