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人工軽量骨材について

8 軽量コンクリートの耐久性

「軽量コンクリートは普通コンクリートに比べてひび割れが入りやすいとか、ひびわれ幅が大きい」と思われている方は意外に多いようです。しかし、それは本当でしょうか。右図のように、普通コンクリートと比較すると軽量コンクリートの乾燥収縮は1〜2×10-4も小さいことが判ります。同様な試験結果は各方面から報告されています。
※軽量コンクリートは、本当はひび割れにくいコンクリートです。
乾燥収縮試験結果


コンクリートは元々、強アルカリ雰囲気のため内部の鉄筋が錆びることを防いでいますが、大気中の炭酸ガスと反応することで、表面から徐々に中性化します。中性化が鉄筋の位置まで進行すると内部の鉄筋が錆びやすくなるため、建物の耐久性が大きく低下します。
中性化は水セメント比(W/C)の影響が最も大きいといわれていますが、右図のように同一水セメント比の場合、軽量コンクリートは普通コンクリートに比べ、中性化の進行が遅いことが判ります。
※軽量コンクリートは耐久性の高いコンクリートです。
促進中性化試験結果


湿潤状態にあるコンクリートは凍結すると内部の水分が凍結膨張し、組織を破壊します。寒冷地では凍結と融解を繰り返すことで、コンクリートが劣化します。人工軽量骨材は内部に多くの水を抱えているため、耐凍害性が劣ると言われてきました。しかし、実際の環境に近い状態で試験を行った場合、右図のように問題ないことが判ります。
 (平成13年6月に施行されたJIS A 1148「コンクリートの凍結融解試験方法(JCISF)では、試験開始材齢の注(3)で「セメント及び骨材の種類、配合及び試験の方法によっては、他の養生方法や材齢とすることが出来る」としており、2週間、3週間の供試体乾燥が適用出来ることとなった。相対動弾性係数は300サイクルで60%以上の結果を有している場合が耐久性が高いとされている。)
※軽量コンクリートは耐凍害性能についても問題ありません。
凍結融解試験結果


軽量コンクリートの耐摩耗性は一般的に劣ると思われています。しかしながら、床スラブを想定した試験体(300×300×厚さ50mm)で磨耗試験(ASTM C779 研磨材を用いたすりへり試験)を行うと、軽量コンクリートの方が磨耗しにくい結果となります。この理由としては、軽量コンクリートの自己養生効果により、試験体表面の強度が普通コンクリートよりも高くなったことなどが考えられます。打込み面を試験しました。(試験体は、実際の打設を想定して、打ち込み後、4週間気中養生を行いました。)
※軽量コンクリートの耐磨耗性は普通コンクリートに遜色ありません。
研摩試験結果

摩耗試験機
摩耗試験機
摩耗共試体(試験前)軽量W/C55%
摩耗共試体(試験前)軽量W/C55%

摩耗共試体(試験後)軽量W/C55%
摩耗共試体(試験後)軽量W/C55%

摩耗共試体(試験後)普通W/C55%
摩耗共試体(試験後)普通W/C55%

普通コンクリートは十分に散水するなどの養生を行わないと、セメントの水和反応に必要な水が不足するため、目標強度に達しないおそれがあります。
人工軽量骨材は内部に多くの水を保持しており、これが水和反応に必要な養生水になります。従って、十分な養生ができなかった時でも、散水養生をした時と同等の強度発現が得られます。(これを自己養生効果と呼んでいます。)
養生方法の違いによる強度発現性状


頁岩系の人工軽量骨材はJCI AAR-3「コンクリートのアルカリ反応性判定試験方法(案)(コンクリートバー法)」による試験結果で「反応性なし」という判定になります。また、JIS A 1146「骨材のアルカリシリカ反応性試験(モルタルバー法)」でも「無害」の判定となります。(今後、海外で規定されている試験方法等でも確認を実施していく予定です。) アルカリ骨材反応試験結果

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