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人工軽量骨材について

7 軽量コンクリートの特長

1.  軽量化が図れ、経済性の面にも寄与

【1】 軽量化により長期・短期応力(特に地震力)が低減でき、次のメリットが考えられます。
  (1)構造部材 (柱、梁)の小断面化 : 特にS造の場合に効果大
(2)基礎工事費の削減 : 杭の本数・径または基礎の断面減

 参考資料 : コンクリートの質量
項目 普通コンクリート 軽量コンクリート
1種
軽量コンクリート
2種
備考
設計基準強度
(N/mm2
Fc≦36 Fc≦27 27<Fc≦36 Fc≦27 RC構造計算規準
鉄筋コンクリートの単位体積質量
(kN/m3
24 20 22 18
気乾単位容積質量の範囲
(kN/m3
22〜24 17〜21 14〜17 JASS5

 参考資料 : 軽量コンクリートの種類
軽量コンクリートの種類 用いる骨材
粗骨材 細骨材
1種 人工軽量骨材 砂 ・ 砕砂 ・ 各種スラグ細骨材
2種 人工軽量細骨材または、これに砂 ・ 砕砂 ・ 各種スラグ細骨材を混入したもの

【2】 骨材の強度(BS10%破砕荷重 : 骨材の10%が破砕するときの荷重(kN))

普通コンクリート用 砕石 軽量コンクリート用 人工軽量骨材
18〜25 8〜13

【3】 材料費は普通コンクリートよりも高いが、トータルコストで有利になる場合が有ります。


2.  耐久性は普通コンクリートと同程度です。
(参照:ALA協会技術資料 NO.3)

【1】 中性化
  普通コンクリートと大差無く、鉄筋のかぶり厚さも普通コンクリートと同程度で問題無い。
 
【2】 塩分・錆
  塩分の含有は無く、鉄筋の発錆については普通コンクリートと同様に問題無い。
 
【3】 乾燥収縮ひび割れ
  一般的に、軽量コンクリートは普通コンクリートと比較しひび割れ発生率が小さいと理解されているが、それは人工軽量骨材中の含水がコンクリートの乾燥収縮を緩和し、ひびわれの発生の抑制に役立っていると考えられている。
  ※普通コンクリート≧軽量コンクリート1種>軽量コンクリート2種。
(日本建築学会編 [高強度人工軽量骨材コンクリートを用いた建築物の設計と施工]及び(社)日本コンクリート工学協会編 [高性能軽量コンクリート研究委員会報告書] 参照)
 
【4】 耐凍害性
  軽量コンクリートは、AEコンクリートにすることで耐凍害性が著しく改善されることが知られており、AE剤使用による適正な空気量の管理や減水剤使用による単位水量をなるべく少なくする管理等を行うことにより、通常の寒冷地でも支障なく使用されている。
 
【5】 アルカリ骨材反応
  アルカリ骨材反応試験結果、「アルカリ骨材反応無し」。


3.  優れた断熱性

  年間冷暖房エネルギー使用量の約5%を節約できるという試算結果がでています。
〔引用:(社)日本コンクリート工学協会「高性能軽量コンクリート研究会報告書の6.4省エネルギー及び省資源環境負荷の観点から」〕
  ●SRC造 地上14階建 4,700m2をモデルに試算
●年間冷暖房エネルギー使用量の試算に使用したコンクリートの
 熱伝導率

コンクリートの種類 普通コンクリート 軽量コンクリート1種 軽量コンクリート2種
密度(t/m3 2.3 1.9 1.6
熱伝導率
(kcal/m・h・℃)
1.4 0.7 0.5


4.  軽量コンクリートスラブそのものの遮音性能は、
 普通コンクリートスラブと同一クラス

【1】 遮音性能(重量床衝撃)
  関西圏において、3件の集合住宅を対象に、居室形態・面積・スラブ厚さ・梁せい等の躯体条件が全く同一な条件において、170mm厚スラブの重量床衝撃音レベルの実測値によると、軽量コンクリートと普通コンクリートは、コンクリート単版で評価した場合よりも差は小さく、2dB程度の差となっており、遮音性能はほぼ同程度であったことが確認されている。
 
【2】 遮音性能(軽量床衝撃音)
  軽量床衝撃音の遮音性能についても普通コンクリートと同一クラスであることが確認されています。
なお、軽量床衝撃音の場合、基本的にコンクリートそのものの性能だけで評価するのではなく、床の仕上げを行った状態で評価することになっています。


5.  軽量コンクリートも問題なくポンプ圧送ができる

  軽量コンクリートは「ポンプ圧送性が悪い」 という固定観念から、設計上採用を見送られるというケースが多々ありましたが実際には建築工事標準仕様書・同解説(JASS 5 鉄筋コンクリート工事 )やALA協会発行の技術資料記載の注意事項等により、充分な品質・施工管理 を行えば、高所圧送でも問題ありません。


6.  許容応力度

【1】 長期時許容圧縮応力度: 普通コンクリートと同様 1/3Fc
 
【2】   〃 許容剪断応力度: 普通コンクリートの0.9倍
 
【3】   〃 許容付着応力度: 普通コンクリートの0.8倍
 
【4】 コンクリートの弾性係数: 普通コンクリートより小さい
算定式 E (N/mm2 = 3.35×104×(/24)2×(Fc/60)1/3
ここに E = コンクリートの弾性係数
= コンクリートの気乾単位体積質量(kN/m3
Fc = コンクリートの設計基準強度(N/mm2

〔引用:【1】〜【4】は、RC構造計算規準・同解説〕


7.  JIS及びJASSの規格強度最大値

【1】 コンクリートの強度の最大値(単位 : N/mm2

コンクリートの種類 粗骨材の
最大寸法
(mm)
スランプ
(フロー)
(cm)
JISA5308規格
(呼び強度)
JASS5規定
(設計基準強度)
軽量コンクリート 1種 15 8,10,12,15,18,21 40 36
2種 27
普通コンクリート 20,25 8,10,12,15,18,21 45 36
高強度コンクリート 20,25 10,15,18 50 60
(50),(60) 60

【2】 JIS規格を外れたコンクリートを建築材料として使用する場合は、建築基準法第37条第二号の規定により、建告第1446号で定める技術的基準に適合するものとして、国土交通大臣の認定を得なければならない。

例えば、軽量コンクリートで設計基準強度が36N/mm2、スランプ15cmの場合で、JASS5の規定により品質基準強度として3N/mm2の割増し、さらに気温による補正値の割増し3N/mm2となる条件下では、呼び強度が42N/mm2となり、JIS規格(最大値40N/mm2)外品となるため、建築基準法第37条第二号の規定により建告第1446号で定める技術的基準に適合するものとして、国土交通大臣の認定を得なければならないことになりますので、注意を要します。

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